50代以上の終活・葬儀準備に関する意識調査:半数が生前決定を希望するも、相談サービス利用は9.6%に留まる現状

人生の終焉をどのように迎えるか、そしてその準備をいかに進めるかは、高齢化が進む現代社会において多くの人々にとって重要な課題となっています。特に「終活」という言葉が浸透するにつれて、自身の葬儀に関する準備もその一環として注目を集めています。しかし、具体的な行動に移すには様々な障壁が存在することも事実です。
株式会社NEXER Groupは、愛媛・松山市の葬儀場「村田葬儀社」と共同で、全国の50歳以上の男女300名を対象に「葬儀の準備・終活」に関するアンケート調査を実施しました。この調査は、50代以上の人々が自身の葬儀準備に対してどのような意識を持ち、どのような不安を抱えているのか、そして終活に関する相談サービスの利用状況はどうなっているのかを明らかにすることを目的としています。本稿では、この調査結果の詳細を分析し、現代社会における終活と葬儀準備の現状と課題について考察します。
調査概要
本調査は、インターネットアンケート形式で実施されました。調査の詳細は以下の通りです。
-
調査主体: 株式会社NEXER Groupと村田葬儀社
-
調査手法: インターネットでのアンケート
-
調査期間: 2026年7月16日 ~ 7月23日
-
調査対象者: 全国の50歳以上の男女
-
有効回答数: 300サンプル
質問内容:
本調査では、以下の6つの質問を通じて、対象者の終活および葬儀準備に対する意識と行動を探りました。
-
終活の一環として、ご自身の葬儀の準備について考えたことはありますか?
- この質問は、終活という広範な概念の中で、自身の葬儀準備がどの程度意識されているか、具体的な行動の初期段階にいるかを把握することを意図しています。
-
生前に、ご自身の葬儀の形式や費用を自分で決めておきたいと思いますか?
-
個人の自己決定権が尊重される現代において、自身の葬儀に関する希望を生前に明確にしたいという意向の有無とその度合いを測ることを目的としています。
-
その理由を教えてください。
-
質問2の回答の背景にある具体的な動機や価値観を深掘りし、意思決定の根拠を明らかにします。
-
葬儀の準備を考えるうえで、どのような点に不安を感じますか?(複数選択可)
-
葬儀準備における具体的な障壁や懸念事項を特定し、それがどのような種類のものかを把握するための質問です。金銭面、精神面、情報面など多岐にわたる不安を網羅しています。
-
ご自身やご家族の葬儀について、葬儀社や終活の相談サービスを利用したことはありますか?
-
終活に関する専門的なサポートや情報提供サービスの利用実態を把握し、その普及度合いを評価するものです。
-
相談サービスを利用して、役立ったと感じたことがあれば教えてください。
-
相談サービスの具体的な価値やメリットを明らかにし、未利用者への啓発に繋げるための質問です。
50代以上の約半数が葬儀準備を「考えたことはない」と回答
最初の質問では、終活の一環として自身の葬儀の準備について考えたことがあるかが問われました。結果は以下の通りです。

-
「考えたことはない」: 52.3%
-
「漠然と気にはなっているが、じっくり考えたことはない」: 25.0%
-
「考えたことはあるが、まだ準備はしていない」: 17.7%
-
「すでに具体的に準備を進めている」: 5.0%
この結果から、50代以上の回答者の約半数である52.3%が、自身の葬儀準備について「考えたことがない」と回答しており、「漠然と気にはなっているが、じっくり考えたことはない」と合わせると、約8割の方が具体的な準備には至っていないことが明らかになりました。終活という概念が広く認知されつつある一方で、自身の葬儀という具体的な事柄になると、多くの人々がまだ行動に移せていない現状が浮き彫りになります。
この背景には、死というテーマに対する心理的な抵抗感や、まだ先のことと捉えがちな意識、あるいは何から手をつけて良いか分からないという情報不足や知識不足が影響していると推察されます。人生の終盤に差し掛かる年代であっても、自身の死と向き合い、その準備を進めることには大きな心理的ハードルが存在すると考えられます。
半数が生前に葬儀の形式や費用を「決めておきたい」と回答
次に、生前に自身の葬儀の形式や費用を自分で決めておきたいと思うかについて質問しました。

-
「ぜひ決めておきたい」: 13.0%
-
「できれば決めておきたい」: 37.0%
-
「あまり決めておきたいとは思わない」: 22.0%
-
「まったく決めておきたいとは思わない」: 28.0%
「ぜひ決めておきたい」と「できれば決めておきたい」を合わせると50.0%となり、約半数の人が生前に自身の葬儀に関する意思決定に前向きな意向を示していることが判明しました。これは、前述の「具体的な準備には至っていない」という結果とは対照的であり、意識と行動の間にギャップがあることを示唆しています。
「決めておきたい」と回答した理由
生前に葬儀の形式や費用を決めておきたいと回答した人々からは、主に以下のような理由が挙げられました。
-
「前もって決めた方が安心感あるから。」(50代・男性)
-
「子どもたちに負担をかけたくないから。」(50代・女性)
-
「その時は自分の親族はいないと思うので、死後迷惑をかけないようにしたい。」(50代・女性)
-
「遺族に方向性を示すのが大事だと思うから。」(60代・男性)
-
「昨年他界した母が、きちんと決めていたので、葬儀はスムーズに行えたし、相続も問題なく進められた経験から、自分もそうしたい。」(60代・女性)
これらの回答からは、「残された家族に迷惑をかけたくない」「家族の負担を軽減したい」といった、遺族への深い思いやりが強く感じられます。また、自身の意思を明確にしておくことで、遺族が判断に迷うことを避けたいという意向や、自身の経験から生前準備の重要性を認識した声も聞かれました。自己決定権の尊重という現代的な価値観も、この背景にあると考えられます。
「決めておきたいとは思わない」と回答した理由
一方で、生前に葬儀の形式や費用を決めておきたいとは思わないと回答した人々からは、以下のような理由が挙げられました。
-
「遺された人が自分の納得のできる形で見送ってほしいから。」(50代・女性)
-
「死んだら終わりなので、遺族の負担のない方法にしてほしい。」(50代・男性)
-
「本人が決めておくという考え方に馴染みがないなと思う。」(50代・女性)
-
「決めておいても後で変わるかもしれないので。」(50代・男性)
-
「まだ自分事としてとらえにくいから。」(60代・男性)
これらの回答からは、家族の意向を尊重したいという気持ちや、遺族に任せることへの信頼、あるいはまだ自身の死を現実的に捉えにくいという心理がうかがえます。生前準備の必要性を感じないという意見も、最終的には家族の負担を考慮した上で、家族の判断に委ねるという選択であると解釈できるでしょう。個人の死生観や家族との関係性によって、終活への向き合い方が異なることが示されています。
葬儀準備における主な不安要素は「家族への負担」と「費用の不透明さ」
葬儀の準備を考える上で、どのような点に不安を感じるかについて、複数選択形式で質問が行われました。

-
「家族に金銭的・精神的な負担をかけてしまう」: 35.3%
-
「費用の相場が分からない」: 34.3%
-
「希望する葬儀の形式が実現できるか分からない」: 24.3%
-
「想定より費用が高額になりそう」: 24.0%
-
「何から手をつければよいか分からない」: 24.0%
-
「葬儀社の選び方が分からない」: 16.7%
最も多かった不安は「家族に金銭的・精神的な負担をかけてしまう」で35.3%でした。次いで「費用の相場が分からない」が34.3%と僅差で続き、「想定より費用が高額になりそう」も24.0%に上っています。これらの結果は、「お金」と「家族への負担」が、葬儀準備における二大不安要素であることを明確に示しています。
葬儀は人生において頻繁に経験するものではないため、その費用構造や相場が一般の人々には見えにくいという特性があります。この情報の不透明さが、高額な費用への懸念や、結果として家族に経済的・精神的な負担をかけてしまうのではないかという不安に直結していると考えられます。また、「希望する葬儀の形式が実現できるか分からない」「何から手をつければよいか分からない」「葬儀社の選び方が分からない」といった回答も多く、具体的な準備方法や情報収集の手段に関する知識不足も、不安を増幅させる要因となっていることが示唆されます。
葬儀・終活相談サービスの利用経験は9.6%に留まる
こうした多くの不安を抱える一方で、葬儀社や終活の相談サービスがどの程度利用されているかについても調査が行われました。

-
「利用したことがない」: 90.3%
-
「相談サービスを利用して、契約・準備まで行った」: 5.3%
-
「相談サービスを利用したことがある」: 4.3%
結果は、「利用したことがない」が90.3%と圧倒的多数を占め、葬儀社や終活の相談サービスを利用した経験があるのは、合計でわずか9.6%に留まることが明らかになりました。これは、生前準備への高い意向や多くの不安が存在するにもかかわらず、専門的なサポートの利用が極めて低い現状を示しています。
この利用率の低さの背景には、相談サービスの存在自体を知らない、利用するきっかけがない、あるいは相談することへの心理的な抵抗感、費用に対する懸念などが考えられます。しかし、実際にサービスを利用した人々からは、以下のような具体的なメリットが報告されています。
相談サービスを利用して役立ったと感じたこと
-
「相場がわかった。」(50代・女性)
-
「初めての葬儀だったので、手順がわからなかったのを教えてもらって助かりました。」(60代・男性)
-
「希望の形式でお願いできた。」(60代・女性)
-
「段取りなどが分かりやすかったです。」(60代・女性)
-
「あまり苦労をしないで納得できる葬儀をすることができた。」(60代・男性)
-
「葬儀に関する日程とその調整。」(60代・男性)
これらの声は、前述の不安要素(費用の相場、何から手をつければよいか分からない、希望する形式の実現性など)が、専門家への相談によって解消されたことを明確に示しています。相談サービスは、漠然とした不安を具体的な情報や見通しへと変え、利用者が自身の意思に基づいた準備を進める上で有効な手段となることが裏付けられました。
まとめと考察
今回の「葬儀の準備・終活」に関するアンケート調査は、50代以上の男女における終活への意識と行動の現状を浮き彫りにしました。
調査結果からは、自身の葬儀準備について「考えたことはない」という人が過半数を占める一方で、生前に葬儀の形式や費用を「自分で決めておきたい」という意向を持つ人も半数に上るという、意識と行動の間のギャップが顕著に表れています。このギャップの背景には、死というテーマへの心理的ハードル、情報不足、何から手をつければ良いか分からないという具体的な準備への迷いなどが存在すると推察されます。
また、葬儀準備における最大の不安要素が「家族への金銭的・精神的な負担」と「費用の相場の不透明さ」であることが明らかになりました。これらの不安は、専門的な知識や情報が不足している現状に起因すると考えられます。しかし、これらの不安を解消するための葬儀社や終活相談サービスの利用率は、わずか9.6%と極めて低い水準にとどまっています。
一方で、実際に相談サービスを利用した人々からは、「相場が分かった」「手順を教えてもらえた」といった具体的なメリットが報告されており、専門家のアドバイスが不安解消に繋がることが示されています。
この調査結果が示すのは、多くの人々が終活、特に葬儀準備の重要性を認識しつつも、具体的な行動への一歩を踏み出せずにいる現状です。この状況を改善するためには、終活に関する正確で分かりやすい情報提供の拡充と、葬儀社や終活相談サービスへのアクセスを容易にし、利用への心理的ハードルを下げる取り組みが不可欠であると考えられます。まずは情報を集め、専門家に相談することで、漠然とした不安を具体的な計画へと転換させることが、残された家族への何よりの思いやりとなるでしょう。


コメント