明治16年創業の石材店が提案する新しい供養の形「SHINOBO」:現代の暮らしに溶け込む小さなお墓

終活

現代の供養における課題と「SHINOBO」の誕生

従来の墓地・墓石は、家族による継承と管理を前提としていましたが、核家族化や少子高齢化、ライフスタイルの変化に伴い、その維持が困難になる家庭が増加しています。墓じまいを選択する家庭が増える一方で、故人を想い、手を合わせる場所を失うことへの寂しさや葛藤もまた、多くの人が抱える感情です。

石安株式会社は、長年にわたりお墓と供養に向き合ってきた中で、このような現代の悩みに直面する顧客の声に耳を傾けてきました。「お墓が遠くてお参りに行けない」「子どもにお墓の管理を負担させたくない」「墓じまいを考えているが、故人とのつながりまで失うようで寂しい」といった声は、従来の「お墓を守り続ける」か「完全になくす」かという二者択一ではない、新たな選択肢の必要性を示唆していました。

「SHINOBO」は、こうした現代のニーズに応えるべく開発された製品です。お墓の場所や形式に縛られることなく、日々の生活の中で自然に故人を偲ぶことができる、新しい供養の形を提案します。

暮らしの中に溶け込むSHINOBO

「SHINOBO」のコンセプト:暮らしに溶け込む新しいお墓

「SHINOBO」は、伝統的なお墓の構成要素を一から見つめ直し、「花立て」「香立て」「火立て」「水受け」「形見入れ」といった機能を、手のひらサイズの石のモジュールとして再構築した製品です。これにより、「大切な人を想う」「手を合わせる」「花や香りを供える」「思い出を残す」といった、お墓が担ってきた本質的な役割を、現代の住環境に取り入れやすい形にしています。

素材には天然御影石や天然大理石が使用されており、石ならではの重みや質感が生かされています。お墓らしさを強く感じさせない洗練された造形は、和室にも洋室にも自然に調和し、一輪挿しや香立てなど、日常のインテリアとしても活用できるデザインが特徴です。

製品ラインナップ

「SHINOBO」には、各モジュールを自由に組み合わせられるブロック型の「SHINOBO cube」と、五輪塔の構成を現代的に再解釈した「SHINOBO gorin」の2種類のラインナップが用意されています。

SHINOBO cube

「SHINOBO cube」は、約60ミリ角の立方体を基本としたモジュール型のお墓です。花立て、香立て、火立て、水受け、形見入れの5種類から、利用者のニーズに合わせて必要なものを自由に選択・組み合わせることが可能です。一つだけを置くことも、複数組み合わせて使用することもでき、故人のイメージや部屋の雰囲気に合わせて石材の種類を選択することもできます。

SHINOBO cube 全体

SHINOBO cube 窓辺

モジュール例

  • 花立て:故人が好きだった花や季節の花を一輪飾ることができます。
    SHINOBO cube 花立て

  • 香立て:お香を焚き、香りで故人を偲ぶことができます。
    SHINOBO cube 香立て

  • 形見入れ:指輪や手紙、写真、思い出の小物などを納めることができます。
    SHINOBO cube 形見入れ

SHINOBO gorin

「SHINOBO gorin」は、日本で古くから供養の形として受け継がれてきた五輪塔をモチーフにしたシリーズです。空・風・火・水・地を表す五つの形を、花立て、香立て、火立て、水受け、形見入れとして現代的に再設計しています。横に並べれば室内に静かに溶け込むモダンな姿に、縦に重ねれば五輪塔を思わせる凛とした佇まいになります。伝統を継承しつつ、現代の住環境に合わせた置き方を選べるデザインが特徴です。

SHINOBO gorin 全体

SHINOBO gorin 窓辺

モジュール例

  • 球体モジュール:丸みを帯びた形状が特徴です。
    SHINOBO gorin 球体

  • 円筒形モジュール:シンプルで洗練されたデザインです。
    SHINOBO gorin 円筒形

  • 箱型モジュール:小物入れとしても活用できる形状です。
    SHINOBO gorin 箱型

日々の暮らしの中で故人を想う

「SHINOBO」は、単なる鑑賞用のオブジェではなく、日々の生活の中で故人とのつながりを感じられる具体的な実践を可能にします。花を飾り、香りを供え、キャンドルを灯し、水を供えるといった行為を通じて、故人への想いを形にすることができます。また、形見入れに思い出の品を納めることで、故人との絆を常に身近に感じられるでしょう。

特別な日だけでなく、その日の気分で花を変えたり、配置を変えたりすることで、供養を日常の中に自然に取り入れることが可能です。窓辺や棚、リビングなど、日常的に目に入る場所に置くことで、ふとした瞬間に故人へ語りかけられる身近な偲びの場が生まれます。

日々の暮らしの中で偲ぶ

墓じまいした墓石を新しい形で次世代へつなぐ

「SHINOBO」の特筆すべき点の一つは、新しい石材から製品を製作するだけでなく、墓じまいによって撤去した墓石の一部を再加工し、新たな「SHINOBO」として生まれ変わらせることができる点です。これは、長年にわたり家族が手を合わせてきた墓石をすべて処分するのではなく、その一部を手元に残し、新しい偲びの場所として次世代へ受け継ぐという画期的な取り組みです。

墓じまいは管理負担の解消に繋がる一方で、「ご先祖とのつながりがなくなるようで寂しい」という心理的な葛藤を生むことがあります。思い入れのある墓石を「SHINOBO」へ再加工することで、これまで受け継いできた石と記憶を、現在の暮らしに合う形で次の世代へ残すという、墓じまいを「想いの終わり」ではなく「新しい継承」へと転換させる選択肢を提供します。

墓石再加工の様子

開発プロセスと職人の技術

「SHINOBO」の開発には、初期構想から約5年という歳月が費やされました。従来の墓石と比較して極めて小さなサイズで設計されているため、既存の大型石材加工設備だけでは、細部まで一貫して仕上げることは困難でした。そのため、設計、試作、製作、検証が繰り返し行われ、最終的な研磨や細部の仕上げは、石材の状態を見極めながら熟練の職人が手作業で行っています。この手間暇かけた工程が、「SHINOBO」の高品質と温かみを生み出しています。

石安株式会社の歴史と今後の展望

石安株式会社は、1883年(明治16年)の創業以来、墓石の設計、加工、施工、修理、墓じまいといった事業に携わってきました。長年にわたりお墓と供養に向き合ってきた経験と伝統を踏まえつつ、現代の暮らしに寄り添う新しい供養のあり方を追求する姿勢は、同社の製品開発哲学に深く根差しています。

代表取締役の高木大輔氏は、「お墓を守れない」「遠くてお参りに行けない」「子どもに負担を残したくない」といった顧客の声から、「SHINOBO」の着想を得たことを語っています。墓地に行かなければ手を合わせられないのではなく、日々の暮らしの中に故人を想える場所があっても良いのではないかという考えが、本製品の出発点です。

今後の展開として、石安株式会社は「SHINOBO」の一般家庭への販売に加え、寺院や葬儀社、仏具店などとの連携を強化していく方針です。また、墓じまいした墓石を「SHINOBO」へ再加工するサービスの展開を通じて、お墓をなくすだけでなく、想いを新しい形で受け継ぐ選択肢を広げていくとのことです。家族構成や暮らし方が変化する時代に寄り添い、一人ひとりに合った供養のあり方を提案し続けることが期待されます。

「SHINOBO」公式サイト:

販売は2026年8月より、「SHINOBO」公式オンラインストアおよび「墓石の石安」店舗(岐阜県大垣市赤坂町1805)にて開始されます。商品は、「SHINOBO」のロゴが焼印された専用の桐箱に収められ、注文後に職人が一つずつ手作業で仕上げて発送されます。

この記事を書いた人
終活専門ライター:榊原郁美
榊原 郁美

40代前半のウェブライター。関東在住。大学卒業後、出版社で編集アシスタントとしてキャリアをスタートし、記事制作や校正業務に携わる。その後、一般企業の広報部門へ転職し、社内外向けのコンテンツ制作や情報発信を担当。「読み手に伝わる文章」を追求する中でライティングスキルを磨く。

結婚・出産を機に働き方を見直し、在宅で活動できるフリーランスのウェブライターへ転身。現在は、ライフスタイル、子育て、ビジネス、キャリア、健康・美容など幅広いジャンルで執筆している。丁寧なリサーチと、読者目線に立ったやさしく分かりやすい文章に定評がある。

SEOを意識した記事構成やキーワード選定にも対応可能で、オウンドメディアやブログ記事、コラム執筆などを中心に活動中。クライアントの意図を汲み取りながら、信頼感のあるコンテンツ制作を心がけている。

趣味は読書と散歩、季節の料理づくり。日常の中にある小さな発見を大切にしながら、暮らしに寄り添う文章を発信している。

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