墓じまいが紡ぐ新たな故郷の縁:證大寺が提唱する「故郷じまいにしない墓じまい」の意義とNHK Eテレでの特集

終活

「墓じまい」の再定義:終わりではなく、新しい始まりへ

證大寺が提唱する「墓じまい」は、単にお墓を撤去するという行為に留まりません。それは、これまで大切にしてきた故郷やご先祖とのつながりを断つことではなく、むしろその関係性を現代のライフスタイルに合わせて再構築し、次世代へと継承していくための「新しい始まり」として捉えられます。

番組と書籍では、證大寺のアドバイスによって墓じまいを行った二組の事例が取り上げられました。長崎と奄美大島をルーツに持つこれらの家族は、お孫さんを連れて故郷を訪れ、墓じまいを契機として、故郷の地域の方々や親戚と、都内にお住まいのお子さんやお孫さんが、祖父母の故郷を自分自身の故郷として認識し、新たな縁を繋ぎ直す取り組みが特集されました。

NHKテキスト「あかるい終活」表紙

お墓の場所や形が変わったとしても、故郷を想い、亡き人に手を合わせ、家族で語り継いでいくことは可能です。證大寺は、墓じまいを「終わり」と捉えるのではなく、これからも無理なくお参りを続けるための「新しい始まり」として考えることの重要性を強調しています。

井上城治住職が語る「故郷じまいにしない墓じまい」

證大寺の井上城治住職は、今回の番組出演を通じて、墓石や場所だけに囚われず、大切な方を想い続ける心や、故郷とのご縁を次の世代へつないでいくことの大切さを伝えました。

井上住職は、「墓じまいでは『これまで守ってきたお墓をなくしてしまった』と、後ろめたさを感じることから故郷との交流を止めてしまう方が増えています。しかし、お墓の形を変えることと、故郷や亡き人とのご縁をなくすることは、同じではありません。大切なのは、『お墓じまいはしても、故郷じまい、お参りじまいはしない』ことです」とコメントしています。

井上城治住職のコメント

そして、墓じまいを、ご縁を閉じるものではなく、これからのご供養を家族で考え直す機会にしてほしいと訴えています。具体的には、事前に故郷に連絡をとり、墓じまいを通して故郷とお子さんやお孫さんに縁を繋ぎ直す取り組みを「故郷じまいにしない墓じまい」として提案しています。

家族が手を合わせる様子

事例から学ぶ「墓じまいがつつないだ故郷との縁」

NHK Eテレの特集で紹介された勝田裕人さんの事例は、「故郷じまいにしない墓じまい」の理念を具体的に示しています。

鹿児島県奄美大島にルーツを持つ勝田さんは、父の認知症をきっかけに、先祖代々のお墓の管理が困難になったことから、改葬を前提とした墓じまいを決意しました。当初は親族が建てたお墓を閉じることに後ろめたさを感じたものの、家族で話し合い、證大寺の井上住職に相談しました。90歳になる井上住職とともに、先祖代々のお墓の読経と開眼供養を行うため、数十年ぶりに父の故郷である奄美大島を訪問しました。

この墓じまいをきっかけに、勝田さんは現地の人々との交流を通じて、父の若き日の意外な一面や、先祖代々の家族の歴史について深く知ることができました。子ども時代に活発で仲間のまとめ役だった父の姿や、上京後も故郷の人々を自宅に招き世話をしていたという話は、勝田さんにとって新たな発見であり、父への尊敬の念を深めることにつながりました。故郷の人々から聞いた父のルーツは、勝田さん自身の誇りとなり、父の故郷が自身の故郷にもなったと語っています。

父が数年前に亡くなった際、奄美大島の方々から届いた手紙には、父との思い出や人柄が丁寧に綴られていました。この手紙は、墓じまいを通じて現地の方々と縁を繋ぎ直したからこそ得られたものであり、勝田さんにとって大切な思い出となっています。この事例は、「墓じまいをしても、故郷じまい、お参りじまいはしない」という井上住職のメッセージが、いかに現代社会において実践的で意義深いものであるかを示しています。

勝田さんの終活ストーリー

證大寺の歴史と現代における役割

證大寺は、承和2年(835年)に小野岑守が建立した日本最古の看取り施設、古代の病院が由来という、1200年以上の長きにわたる歴史を持つ寺院です。この歴史は、證大寺が常に人々の生と死、そしてその間の「ご縁」に深く寄り添ってきたことを示しています。

現在は浄土真宗大谷派の寺院として、東京都江戸川区の江戸川本坊、千葉県船橋市の船橋昭和浄苑、埼玉県東松山市の森林公園昭和浄苑を運営しています。伝統を守りつつも、現代社会のニーズに応える革新的な取り組みも積極的に行っています。例えば、酷暑対策として夜間にソーラーランタンを設置してのお参りの提案や、お寺乗合送迎タクシーの導入などが挙げられ、これらの活動は「クローズアップ現代」をはじめとする各種メディアでも取り上げられ、注目を集めています。

このような取り組みは、證大寺が単なる宗教施設としてだけでなく、現代社会において人々の「終活」や「ご縁」を支え、地域社会に貢献する重要な役割を担っていることを物語っています。證大寺が考えるお墓じまいについて詳しくご覧になりたい方は、以下のサイトをご参照ください。

證大寺は安易な墓じまいには反対です。 | NHKEテレ「明日から使える あかるい終活」にて證大寺の取り組みが紹介されました
NHKEテレ「明日から使える あかるい終活」にて證大寺の取り組みが紹介されました

證大寺のお墓じまいQRコード

法輪山證大寺の門

宗教法人 證大寺の公式サイト:
https://shoudaiji.or.jp/

結論

「墓じまい」は、現代社会において避けて通れないテーマの一つであり、その選択は個々の家族の事情に応じた合理的な判断です。しかし、それが故郷や先祖との絆を断ち切るものではなく、むしろ新たな形で継承していく契機となり得るという證大寺の提唱する「故郷じまいにしない墓じまい」の考え方は、現代社会における終活のあり方に対し、深く考慮すべき視点を提供しています。

證大寺の取り組みは、日本人のルーツや地域社会とのつながりを守り、次世代へと受け継いでいくための重要なメッセージを含んでいます。墓じまいが、家族の絆を再確認し、故郷との縁を新たな形で紡ぎ直す機会となるよう、その意義を深く理解し、慎重な検討を重ねることが求められます。

この記事を書いた人
終活専門ライター:榊原郁美
榊原 郁美

40代前半のウェブライター。関東在住。大学卒業後、出版社で編集アシスタントとしてキャリアをスタートし、記事制作や校正業務に携わる。その後、一般企業の広報部門へ転職し、社内外向けのコンテンツ制作や情報発信を担当。「読み手に伝わる文章」を追求する中でライティングスキルを磨く。

結婚・出産を機に働き方を見直し、在宅で活動できるフリーランスのウェブライターへ転身。現在は、ライフスタイル、子育て、ビジネス、キャリア、健康・美容など幅広いジャンルで執筆している。丁寧なリサーチと、読者目線に立ったやさしく分かりやすい文章に定評がある。

SEOを意識した記事構成やキーワード選定にも対応可能で、オウンドメディアやブログ記事、コラム執筆などを中心に活動中。クライアントの意図を汲み取りながら、信頼感のあるコンテンツ制作を心がけている。

趣味は読書と散歩、季節の料理づくり。日常の中にある小さな発見を大切にしながら、暮らしに寄り添う文章を発信している。

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