現代社会におけるお墓と供養の変遷
現代社会において、家族形態の変化や少子高齢化の進展に伴い、お墓や供養のあり方に対する意識が大きく変化しています。従来の「家のお墓」を継承するという考え方から、個人の価値観や家族の負担を考慮した多様な選択肢が模索される時代へと移行しています。このような背景のもと、一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループは、「墓じまいと供養先の再選択」に関する実態調査を実施し、現代人が抱えるお墓や供養に関する具体的な課題と意識変革の現状を明らかにしました。
調査概要
本調査は、終活ガイド資格検定3級・2級資格取得者860名を対象に、2026年6月1日から2026年6月30日の期間、インターネットを利用したアンケート形式で実施されました。調査の目的は、お墓の維持や墓じまい、供養先の再選択に関する意識や実態を把握することにあります。
墓じまい費用に関する認識の現状
調査結果から、お墓の維持や墓じまいにかかる費用について、多くの人が具体的な金額を把握していないことが浮き彫りになりました。「なんとなくのイメージはあるが、具体的な金額は知らない」が36.9%、「ほとんど・全く知らない」が36.5%、「考えたことがない」が15.2%と、合計88.6%もの人が具体的な費用を把握していないと回答しました。具体的な費用を「おおよその相場まで具体的に知っている」と回答したのはわずか11.4%にとどまっています。

この結果は、墓じまいを検討する上で、費用の情報が不足している現状を示唆しています。費用の透明性の欠如は、意思決定を困難にし、行動への心理的ハードルを高める要因となっていると考えられます。
「自分の代でお墓を終わらせてもよい」という意識の広がり
「自分の代でお墓を終わらせてもよい」という考え方に対する共感度は高く、「強く共感する」が26.3%、「やや共感する」が34.8%と、合計61.1%が共感を示しました。この結果は、お墓の継承を前提とした従来の墓観から、個人の代で完結させる、あるいは家族に負担をかけないという考え方への移行が明確に進んでいることを示しています。

この意識変化の背景には、少子高齢化による継承者の減少、核家族化による家族形態の多様化、そして個人主義の浸透などが考えられます。お墓は「家」の象徴から、「個人」の供養の場へとその意味合いが変化しつつあると言えるでしょう。
親世代とのコミュニケーション状況と課題
お墓や供養に関する話題は、家庭内で動き始めているものの、具体的な対話には課題が見られます。親からお墓や供養について「具体的な相談を受けたことがある」(12.9%)または「それとなく話題に出されたことがある」(25.9%)と回答した人は合計38.8%に達し、親世代からの話題提起が増えていることが分かります。

しかし、自身がお墓の今後について家族に「話を切り出したいけれど、まだ切り出せていない」と感じる人は、「強く感じる」(5.3%)と「ときどき感じる」(19.7%)を合わせると25.0%となり、4人に1人が対話に踏み出せない状況にあることが明らかになりました。

話を切り出しにくい理由としては、「きっかけ・タイミングがない」(21.6%)が最も多く、次いで「自分の中でも考えがまとまっていない」(18.5%)が挙げられています。これは、単に「縁起が悪い」といった心理的抵抗だけでなく、情報不足や自身の考えの整理不足も、家族間の対話を阻む大きな要因となっていることを示唆しています。

また、親世代と自身のお墓に対する考え方について、「違いを感じる」(16.5%)や「大きく違う/対立している」(2.7%)と回答した人が合計19.2%存在し、約5人に1人が世代間の価値観の相違を認識していることも、対話の難しさに拍車をかけている可能性があります。

供養先の多様化と具体的な行動意向
供養先の選択においては、従来の「家のお墓(一般墓)」を希望する人が23.3%であるのに対し、「永代供養」(19.5%)、「樹木葬」(15.0%)、「散骨」(15.7%)、「手元供養」(3.3%)といった一般墓以外の新しい供養先の合計が53.5%と、過半数を占めました。この結果は、供養の選択肢が「家のお墓一択」ではなく、個々のニーズやライフスタイルに合わせた多様な選択肢が広く受け入れられている現状を明確に示しています。

墓じまいに関する具体的な行動意向については、「すでに実行した」(5.3%)、「どうするかは決めている」(15.5%)、「実行に向けて動いている」(8.3%)を合わせると29.1%となり、約3割の人が墓じまいについて何らかの方向性を定め、または行動に移していることが分かります。

また、「ここ最近、『これからのお墓のこと』『墓じまい』など、そろそろ考えた方がいいかもと思う機会はありましたか?」という問いに対して、「よくある」(18.1%)と「ときどきある」(33.8%)を合わせると51.9%となり、半数以上がお墓や墓じまいについて考える機会があったと回答しています。

墓じまいや供養先の選び方で求められる支援
墓じまいや供養先の選び方に関して最も必要とされている支援は、「墓じまいの手順・費用が分かる情報」(33.6%)でした。次いで、「家族との話し合いの切り出し方・伝え方」(27.6%)が求められており、情報提供だけでなく、家族間コミュニケーションを円滑にするための支援の重要性が浮き彫りになりました。

この結果は、人々が抱えるお墓の問題が、単に制度や費用の情報不足だけでなく、家族間の繊細な感情や価値観の調整といった、より複雑な側面を含んでいることを示唆しています。
調査結果からの考察と今後の展望
今回の調査から、現代社会におけるお墓や供養に対する意識は大きく変化しており、「自分の代でお墓を終わらせる」という考え方や、一般墓以外の多様な供養先への関心が高まっていることが明確になりました。しかし、その一方で、墓じまいにかかる具体的な費用を知らない人が約9割に上るなど、情報不足が大きな課題として存在しています。また、家族間でお墓の話題を切り出したいと感じながらも、その実現に至らない人が4人に1人いるという現状は、情報提供だけでなく、家族間の対話を促すための具体的な支援が不可欠であることを示しています。
終活は、単なる手続きの準備だけでなく、自身の人生の終え方や、残された家族への配慮を含めた包括的なプロセスです。お墓や供養の問題もその一環であり、具体的な情報提供と、家族が安心して話し合える環境作りが、現代社会において喫緊の課題と言えるでしょう。専門家や中立的な窓口による支援、そして具体的な手順や費用に関する正確な情報提供が、人々が抱える不安を軽減し、より良い選択を後押しするために不可欠であると考えられます。
一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループについて
一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループは、2015年に設立され、終活に関する多岐にわたる相談に対応しています。同団体は「ワンストップサービス」を掲げ、全国のおひとりさまや、お子様のいない夫婦など、終活に悩みや不安を抱える人々に寄り添い、身元保証サービスや終活ガイドの資格運営など、様々な形でサポートを提供しています。トータルサポートができる人材の育成にも力を入れ、有益な情報発信や資格、セミナーの提供を通じて、終活のスペシャリストの育成にも貢献しています。
詳細については、一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループの公式サイトをご覧ください。
https://shukatsu-kyougikai.com/
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