自身の供養方法、意識し始める年齢は「60代」が最多に。親世代との希望共有は1割強に留まる実態

終活

終活における供養方法の意識と家族間コミュニケーションの実態

人生の終末期に向けた準備活動である「終活」は、近年広く社会に浸透しています。その中でも、自身の供養方法の決定は、個人の尊厳に関わる重要な要素でありながら、具体的な検討が後回しになりがちなテーマの一つです。遺骨を海に還す「海洋散骨」をはじめとする多様な供養の選択肢が広がる現代において、人々が自身の、あるいは家族の供養についてどのように向き合っているのか、その実態を明らかにするために、株式会社NEXER Groupと遺骨供養ウーナは共同で全国の男女500名を対象とした「供養方法」に関するアンケート調査を実施しました。

本稿では、この調査結果に基づき、自身の供養方法を意識し始める年齢、海洋散骨に対する意識、終活における供養方法決定の優先度、そして親世代との供養に関する話し合いの状況について、専門的な視点から詳細に分析します。

自身の供養方法を意識し始める年齢は「60代」が最多

まず、回答者自身の供養方法について意識し始める年齢として、何歳ごろが適切であると考えるかという質問に対し、最も多くの回答を集めたのは「60代」で32.0%でした。次いで「70代以上」が25.4%、「50代」が20.8%と続き、回答者の78.2%が50代以上で供養方法を意識し始めるのが適切であると考えていることが明らかになりました。

自身の供養方法を意識し始める年齢

この結果は、多くの人が人生の後半期、特に定年退職や健康状態の変化、親世代の介護や看取りといった具体的なライフイベントを経験する時期に、自身の死生観や終末期に関する意識が高まる傾向にあることを示唆しています。

「60代」と回答した理由としては、「段々死を意識し始めるから」「いつ死んでもおかしくない年齢だから」といった声が挙げられています。これは、60代という年齢が、身体的な衰えや周囲の訃報に接する機会が増えることで、自身の有限性をより現実的に捉えるようになる時期であることを反映していると考えられます。また、社会的な役割からの解放や時間の余裕が生まれることで、自身の人生を振り返り、終末期の準備を考える契機となる側面も指摘できます。

「70代以上」と回答した層からは、「なんとなくそれくらいまでは元気なイメージだから」「健康状態の変化を実感しやすい年代だから」といった意見がありました。これは、自身の健康状態を基準に、具体的な必要性を感じる時期を判断していることを示しています。一方で、「50代」と回答した層からは、「老後を意識し始める年代だから」「人生の半分まで来ているから」「体の不調が日常になる年代だと思うから」といった声が聞かれました。これは、50代が人生の折り返し地点として、将来への見通しを立て始める時期であり、健康維持への意識が高まると同時に、万一に備える意識も芽生えることを示唆しています。

このように、自身の供養方法に対する意識は、個人の価値観やライフステージにおける経験によって多様ですが、多くの人が健康状態や体力の変化、あるいは人生の節目を、この重要なテーマと向き合うきっかけとして捉えていることが分かります。

親世代への海洋散骨推奨に対する意識

次に、自身の親や上の世代(祖父母など)に海洋散骨を勧めることに対する抵抗感について尋ねたところ、「まったく抵抗はない」(24.0%)と「どちらかといえば抵抗はない」(26.0%)を合わせた50.0%が「抵抗はない」と回答しました。一方で、「強い抵抗がある」(21.8%)と「どちらかといえば抵抗がある」(28.2%)を合わせた50.0%が「抵抗がある」と回答しており、意見がちょうど半々に分かれる結果となりました。

親世代への海洋散骨推奨に関する意識

「抵抗はない」と回答した層からは、「その人の意向に任せたほうがいいと思うから」「それが気に入るのであればいいと思うから」といった、個人の意思尊重を重視する意見が多く見られました。また、「素敵な供養方法だと思う」「親が望んでおり、墓などの保管にかかわる費用を抑えられるから」といった、海洋散骨自体への肯定的な評価や、費用面でのメリットを認識している声も挙がりました。これは、現代社会において、伝統的な墓地・墓石による供養以外の選択肢が徐々に受け入れられつつあることを示していると考えられます。

一方で、「抵抗がある」と回答した層からは、「よく知らなくて不安だから」「普通に納骨するデメリットが無いのに、わざわざ斬新な提案をする意味が無いから」といった、海洋散骨に対する情報不足や未知の供養方法への戸惑いが背景にあると推測されます。また、「何か怒られそう」「親は墓に入れたい」といった、親世代の価値観や感情を慮る意見や、伝統的な供養への慣れからくる心理的な抵抗も散見されました。さらに、「海が遠い」といった物理的な制約を理由に挙げる声もあり、供養の形だけでなく、その後のアクセス性や管理のしやすさも考慮されていることが分かります。

この結果は、海洋散骨が新しい供養の選択肢として認識されつつあるものの、その受容には個人の価値観、情報への理解度、そして伝統的な供養文化との兼ね合いが大きく影響していることを示しています。特に、親世代に対して新しい供養方法を提案する際には、丁寧な説明と相手の意向への配慮が不可欠であるといえるでしょう。

子世代への海洋散骨希望に対する意識

次に、自分より下の世代(子どもや孫など)に、海洋散骨を自身の供養方法として希望することに抵抗を感じるかという問いに対しては、「まったく抵抗はない」(34.6%)と「どちらかといえば抵抗はない」(24.4%)を合わせた59.0%が「抵抗はない」と回答しました。これは、親世代に勧める場合と比較して、自身の希望を伝えることに対する抵抗感が少ない傾向にあることを示しています。

子世代への海洋散骨希望に関する意識

「抵抗はない」と回答した理由としては、「自分が好きな方法を選べばいいと思うから」「自分の意思で決めることだから」といった、自己決定権の尊重を重視する意見が目立ちました。さらに、「墓守で苦労をかけたくない」といった、子世代への負担軽減を考慮する声も多く聞かれました。これは、現代社会において、少子高齢化や核家族化が進む中で、伝統的な「家」の概念に基づく墓守の負担が重荷となりがちであるという認識が広まっていることを反映していると考えられます。自身の供養方法を選ぶ際に、残された家族への配慮が重要な要素となっていることがうかがえます。

一方で、「抵抗がある」と回答した層からは、「あまり迷惑をかけたくないから」「手間がかかって大変そうだから。そこまでしてもらえる関係性の人がいてくれるか自信ない」といった、やはり子世代への負担を懸念する声が挙がりました。これは、「抵抗はない」と回答した層が「負担をかけたくないから海洋散骨を希望する」と考えるのに対し、「抵抗がある」層は「海洋散骨自体が手間や迷惑になるのではないか」と懸念している点で対照的です。また、「良さが分からない」「距離が遠い」といった、海洋散骨への理解不足や物理的な問題意識も示されました。

この結果から、供養の方法を選択する際には、形式そのものよりも、家族への思いやりや、残された家族に与える負担の有無といった点が、受け止め方に大きく影響していることが分かります。自身の供養方法を希望するにあたり、子世代がどのように受け止めるかを考慮する意識が高いといえるでしょう。

終活における供養方法決定の優先度

終活の中で、供養方法(海洋散骨を含む自身の葬送方法)の決定がどの優先度にあると感じるかという質問に対しては、「余裕ができたら考えればよいこと」が36.8%で最も多く、次いで「必要だとはわかっているが、後回しにしがちなこと」が22.8%、「できれば考えたくないこと」が22.0%と続きました。「最優先で決めておきたいこと(早めに準備したい)」と回答した人は18.4%に留まり、多くの人が供養方法の決定を、緊急性の低いテーマとして捉えている実態が明らかになりました。

終活における供養方法決定の優先度

「余裕ができたら考えればよいこと」と回答した理由としては、「じっくり考えられたらいいと思うから」「考えが変わるかもしれないから」といった、慎重な姿勢や将来的な変化を見越した意見が見られました。また、「普通の火葬がまだまだ一般的だと考えているため」という意見は、従来の供養方法が主流であるという認識が、検討を先送りにする一因となっていることを示唆しています。死生観に関する話題はデリケートであり、すぐに結論を出すのが難しいという心理も背景にあると考えられます。

「必要だとはわかっているが、後回しにしがちなこと」と回答した層からは、「死にそうな時に決めればいいと考えてるので」「供養方法は、別に決めなくても、残されたものは困ることでもないと思うから」といった、切迫感が薄い、あるいは残された家族が対応可能であるという認識がうかがえます。また、「お金に関することの方が優先されそうだから」という意見は、終活の中で、財産管理や医療・介護の意思決定といった具体的な経済的・身体的課題が優先されがちであることを示唆しています。

「できれば考えたくないこと」と回答した層は、「死ぬことを考えたくないから」「悲しくなるから」といった、死そのものやそれに伴う感情的な抵抗が強いことが明らかになりました。これは、社会全体として死生観に関する話題がタブー視されやすい傾向があることを反映しているといえるでしょう。

一方で、「最優先で決めておきたいこと(早めに準備したい)」と回答した層からは、「希望があるなら先に伝えるべきだから」「本人の意思が重要だと感じるから」「苦労しそうな部分だから」といった意見が聞かれました。これは、自身の意思を明確に伝えることで、残された家族の負担を軽減し、後悔のない見送りを実現したいという強い思いがあることを示しています。終活の他の項目と比較して、供養方法の決定は心理的なハードルが高いものの、早期に決定することの意義を認識している層も一定数存在することが分かります。

親世代との供養方法の希望に関する対話状況

最後に、親世代に「供養方法の希望」を聞いておきたいか、あるいは聞いておくべきだと思うかという質問に対しては、「あえて聞く必要はないと思う」が34.8%で最多となりました。次いで「聞いておくべきだとは思うが、なかなか言い出しにくい」が28.0%、「聞いておくべきかどうか、正直わからない」が22.6%と続き、「ぜひ聞いておきたいし、すでに話し合っている」と回答した人はわずか14.6%に留まるという実態が明らかになりました。

親世代との供養方法の希望に関する対話状況

この結果は、多くの家庭で、親世代との間で供養に関する具体的な話し合いが十分にできていない現状を示唆しています。死生観に関する話題は、家族間であっても切り出しにくいデリケートなテーマであるという認識が広範に存在すると考えられます。

「あえて聞く必要はないと思う」と回答した層からは、「希望があったら聞けばいいとは思うけど、わざわざ話題にしなくても思ったから」「本人から言われると思うから」といった意見が聞かれました。これは、親世代が自ら意思表示をするのを待つという姿勢や、日常的にこの話題を避ける傾向があることを示唆しています。また、「話したいときに話せばいいから」という意見は、特定のタイミングや状況を待つという意識を反映していると考えられます。

「聞いておくべきだとは思うが、なかなか言い出しにくい」と回答した層からは、「死ぬ前提を話したくないから」「まだ聞きづらい」といった、感情的な抵抗や話題の切り出し方への戸惑いが明確に示されました。これは、親世代に「死」を意識させることへの遠慮や、不吉な話題として捉えられることへの懸念があることを示唆しています。一方で、「当人の考えを知りたいから」という意見は、本音では親の希望を知りたいという思いがあることを示しており、コミュニケーションの必要性を感じながらも、その実現に困難を伴っている状況がうかがえます。

「聞いておくべきかどうか、正直わからない」と回答した層からは、「タブーな話題だと思っているから」「今はまだその時期じゃない」といった意見が聞かれました。これは、死生観に関する話題が社会的に十分に開かれていない現状や、家族間でその話題を避ける傾向があることを反映していると考えられます。

しかし、「ぜひ聞いておきたいし、すでに話し合っている」と回答した層も一定数存在します。この層からは、「本人が納得する最期にしたいので」「いつ死ぬかわからないから」「本人の意思を尊重したい」といった、積極的な動機が見られました。これは、親の意思を尊重し、後悔のない見送りを実現するためには、元気なうちから話し合い、希望を共有しておくことが重要であるという認識が背景にあると考えられます。このような層は、死生観に関する話題をタブー視せず、家族間の大切な対話として捉えているといえるでしょう。

結論と今後の展望

今回の調査結果から、自身の供養方法を意識し始める年齢は「60代」が最多であり、多くの人が人生の節目や健康状態の変化をきっかけに、この重要なテーマと向き合い始めることが明らかになりました。特に、海洋散骨のような多様な供養方法が広がる中で、個人の希望や価値観が選択に大きく影響を与えています。

一方で、供養方法の決定は「余裕ができたら」と先送りにされがちであり、親世代と供養の希望を「すでに話し合っている」人はわずか14.6%に留まるという実態も浮き彫りになりました。多くの人が家族間のコミュニケーションの重要性を認識しつつも、死生観に関する話題のデリケートさから、なかなか話し合いが進まない現状がうかがえます。

しかし、「本人の意思を尊重したい」「本人が納得する最期にしたい」といった声が示すように、安心して納得できる形での終末期を迎えるためには、元気なうちに情報を集め、家族と少しずつ言葉を交わしておくことが極めて重要であるといえます。供養方法の多様化は、個々人が自身の価値観に基づいた選択をする機会を提供する一方で、家族間での意思疎通の必要性を一層高めています。後悔のない見送りの実現に向けて、家族間の対話を促進する社会的な取り組みや意識改革が今後さらに求められるでしょう。

引用元情報

本プレスリリースの内容は「株式会社NEXER Groupと遺骨供養ウーナによる調査」に基づいています。

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この記事を書いた人
終活専門ライター:榊原郁美
榊原 郁美

40代前半のウェブライター。関東在住。大学卒業後、出版社で編集アシスタントとしてキャリアをスタートし、記事制作や校正業務に携わる。その後、一般企業の広報部門へ転職し、社内外向けのコンテンツ制作や情報発信を担当。「読み手に伝わる文章」を追求する中でライティングスキルを磨く。

結婚・出産を機に働き方を見直し、在宅で活動できるフリーランスのウェブライターへ転身。現在は、ライフスタイル、子育て、ビジネス、キャリア、健康・美容など幅広いジャンルで執筆している。丁寧なリサーチと、読者目線に立ったやさしく分かりやすい文章に定評がある。

SEOを意識した記事構成やキーワード選定にも対応可能で、オウンドメディアやブログ記事、コラム執筆などを中心に活動中。クライアントの意図を汲み取りながら、信頼感のあるコンテンツ制作を心がけている。

趣味は読書と散歩、季節の料理づくり。日常の中にある小さな発見を大切にしながら、暮らしに寄り添う文章を発信している。

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