「墓じまい」に関するアンケート調査結果の分析
はじめに
現代社会において、少子高齢化や核家族化の進展、ライフスタイルの多様化に伴い、供養のあり方や墓地の維持管理に関する意識が変化しています。その中で、「墓じまい」という選択肢は、多くの方にとって現実的な課題となりつつあります。経済産業省公認団体である全国石製品協同組合(全石協)は、この「墓じまい」に関する意識の実態を把握するため、全国の40代から70代の男女を対象としたアンケート調査を実施しました。本稿では、この調査で得られた回答結果を詳細に分析し、現代における墓じまいの傾向と課題について考察します。
調査概要
調査対象
全国の40代から70代の男女500名。
調査期間
2026年4月24日から2026年4月26日。
調査方法
インターネット調査。
有効サンプル数
500名。
設問内容
本調査では、以下の6つの設問が設けられました。
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Q1:年代・性別
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Q2:墓じまいをしたことがありますか?
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Q3:墓じまいを考えた時、誰に相談するか当てはまるものをすべて選んでください。(複数回答)
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Q4:墓じまいを相談するタイミングは?
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Q5:墓じまいを検討するキッカケは何ですか?
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Q6:墓じまいを考えた時に参考にした(する予定)メディアとして当てはまるものを3つまで選んでください。(複数回答3つまで)
サンプル特性
集計は回答者数500件を母数としています。性別構成は男性が76.6%、女性が23.4%であり、全体値は男性回答の影響を強く受けている点に留意が必要です。年代別では、40代が24.4%、50代が26.8%、60代が27.8%、70代以上が21.0%となっています。

調査結果サマリーと詳細分析
墓じまい経験・意向の分析
本調査では、墓じまいの経験・意向について詳細な分析が行われました。回答者のうち、「将来もするつもりはない」と回答した層が57.2%と過半数を占める一方で、「将来、検討する可能性はある」が34.2%、「ある」が4.8%、「検討中」が3.8%でした。これらの「ある」「検討中」「将来、検討する可能性はある」を合わせた「関心層」は全体の42.8%に達し、墓じまいに対する潜在的な需要が一定規模で存在することが示唆されます。


年代別に見ると、関心層の比率は60代で最も高く、53.2%の60代が「経験・検討中・将来検討可能」に該当します。これは、60代が終活を具体的に検討し始める時期であり、お墓の継承問題や自身の供養に対する意識が高まる年代であるためと考えられます。70代以上では経験者比率が最も高いものの、未意向層も60.0%を占めており、既に意思決定を終えた層と関心の薄い層に二極化している可能性が考えられます。


相談先の分析
墓じまいを検討する際の相談先については、「夫・妻」が33.2%で最も多く、家族内での意思決定が中心であることが明らかになりました。しかし、「誰にも相談しない」と回答した層も32.8%とほぼ同水準にあり、情報収集前の段階で相談行動が起きていない層が大きいことが示されています。専門相談先では「寺院・霊園」が21.0%で最も高く、石材店(6.8%)、役所(6.2%)、葬儀社よりも上位に位置しています。

「検討中」の層では、夫・妻(52.6%)、寺院・霊園(42.1%)、石材店(26.3%)の比率が高く、具体化が進むにつれて身近な家族と専門事業者の双方に接点が生まれる傾向が見られます。一方、「将来もするつもりはない」層では「誰にも相談しない」が46.5%と高いため、この層に対しては、いきなり相談予約へ誘導するよりも、セルフチェックや基礎知識コンテンツを通じて心理的なハードルを下げるような施策が有効であると考えられます。

相談タイミング・検討きっかけの分析
墓じまいを相談するタイミングについては、「誰にも相談しないのでわからない」が37.0%で最多でした。具体的なタイミングとしては、「自分が終活をはじめた時」が21.2%、「家族が亡くなった時」が13.4%と続き、人生の節目や大きな出来事がきっかけとなることが多いことが示されています。

検討のきっかけとしては、「今あるお墓の管理やお参りが大変(遠方・劣化等)」が21.0%で最も大きな具体的な課題として挙げられました。これは、高齢化や居住地の変化により、お墓の管理が物理的・精神的な負担となっている現状を反映していると考えられます。将来検討可能層では、「管理やお参りの大変さ」に加え、「最近の新しい埋葬方法(樹木葬・永代供養墓等)が気になる」(14.6%)、「お墓参りや法事へ行った時」(14.0%)が上位に入っています。このことから、課題解決型の訴求だけでなく、樹木葬や永代供養墓といった代替選択肢を分かりやすく比較する情報提供が、関心喚起につながる有効な手段であると推察されます。

参考メディアの分析
墓じまいを検討する際に参考にするメディアについては、「霊園寺院のホームページ」が27.8%で最多となりました。次いで「テレビ番組」(17.8%)、「ポータルサイト」(15.8%)、「石材店のホームページ」(15.0%)、「市・区・町広報誌」(14.4%)が続きます。この結果は、公式性や信頼性のある情報源と、比較検討や認知獲得のためのメディアが併用されている情報収集の傾向を示しています。

「検討中」の層では、ポータルサイト(42.1%)、テレビ番組(42.1%)、石材店のホームページ(42.1%)が同率で上位を占めており、具体的な問い合わせや比較検討につながりやすい情報源の比重が高いことが特徴です。一方、将来検討可能層では、霊園寺院のホームページ(32.2%)とテレビ番組(24.6%)が上位であり、まずは信頼できる情報で基本的な理解を深める段階にあると考えられます。生成AIは参考メディアとして8.8%、相談先として3.6%と、現時点では主流ではありませんが、初期の情報収集を補助するチャネルとして一定の存在感を示し始めています。

考察
本アンケート調査からは、「墓じまい」が社会的に無視できないテーマであり、多くの人々がその必要性を感じ、あるいは将来的な選択肢として認識していることが明確に示されました。関心層が全体の42.8%を占める一方で、57.2%は「将来もするつもりはない」と回答しており、墓じまいに対する意識が二極化している現状が浮き彫りになっています。
墓じまいの検討が始まるきっかけとしては、お墓の管理やお参りに関する具体的な負担が最も大きな要因であり、これは高齢化や遠隔地居住といった現代的なライフスタイルの変化と密接に関連しています。また、承継者不在や子ども・親族への負担軽減といった家族構成の変化も、検討を促す重要な要素であると解釈できます。新しい埋葬方法への関心の高さは、従来の墓地形式に捉われない多様な供養の形が求められていることを示唆しています。
相談行動については、家族・親族が中心であるものの、半数近くが「誰にも相談しない」と回答している点は注目に値します。これは、墓じまいが個人的な問題として捉えられがちであること、あるいはどこに相談すれば良いか分からないという情報不足が背景にある可能性が考えられます。専門業者や寺院への相談が検討の具体化段階で増える傾向は、初期段階での情報提供の不足を示唆しており、消費者が気軽に情報を得られる機会の創出が課題であると言えるでしょう。
情報収集においては、霊園寺院のホームページのような公式で信頼性の高い情報源が重視される一方で、テレビ番組やポータルサイトといった比較情報や認知獲得に資するメディアも活用されています。これは、消費者が多角的な視点から情報を収集し、自身の状況に最適な選択をしようとする姿勢の表れです。生成AIの利用がまだ限定的であるものの、初期情報収集の補助チャネルとしての潜在的な可能性も示唆されています。
全国石製品協同組合(全石協)の取り組み
全国石製品協同組合(全石協)は、このような消費者のニーズに応えるべく、お墓や散骨に関する悩み全般を解決するための「お墓の相談窓口(相談無料)」を開設しています。消費者が家族や親族と共に、後悔のない供養の形を選択できるよう、正確な情報提供とサポートに努めています。また、お墓や散骨に関わる事業者が正しい知識や情報を消費者へ提供できるよう、業界全体の健全な発展にも寄与しています。
全国石製品協同組合(全石協)について
全国石製品協同組合は、全国47都道府県の石材会社および関連会社が結集し、石材業界の指導的役割を担う経済産業省公認団体です。2012年11月22日に設立され、東京都港区に所在地を置いています。消費者のニーズに的確に対応し、石材業界の健全な発展を目指すとともに、日本人が大切にしてきた供養文化を守るべく、消費者へ正確な情報を提供することを使命としています。
運営サイト
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